以前mEq/Lに関する記事を書いてみましたが、思いのほか好評だったようです。
ご意見や質問もいくつかあり、今回はその辺も含めて以前の記事を少し修正してみました。
皆さんのお役に立てれば嬉しいです。
そもそもmEqって何?
mEqは「ミリイクイバレント」と読みます。
臨床ではよく『メック』と呼ばれてるもので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
Eq(イクイバレント)は、溶液中に電荷を持ったつぶ(当量数)がいくつあるかの指標で、その数が浸透圧を決めています。
Eqのm(1000分の1)なのでmEqです。
mEq/Lとは?
溶液1L中に溶けている溶質のつぶ(当量数)のことを指します。
臨床では「メック」と同意語であることが殆どだと思います。
換算方法の手順①分子量を知る
mEq/Lを求めたい電解質の分子量を知る必要があります。
分子量とは、物質の分子を構成する元素の原子量の総和のことです。
また嫌な単語がでてきましたね…分子量に原子量!
高校の化学で習った方も多いと思いますがまさかこんなところで再開するとは!と言うことでおさらいしていきましょう。
臨床でよく使う電解質を載せておきますね。
元素記号 | 物質名 | 原子量 |
Na | ナトリウム | 23 |
K | カリウム | 39 |
Ca | カルシウム | 40 |
Mg | マグネシウム | 24 |
Cl | 塩素 | 35.5 |
P | リン | 31 |
換算方法の手順②モル濃度を求める
原子量がわかったら、次はモル(mol)濃度を求めていきます。
懐かしい響きですねぇ…モル。
高校の化学で学んだ、物質の量をモル(mol)の単位で表した量(物質量)のことですが、覚えていますか?
1モルの重さ=その物質の原子量(または分子量)のg数なので、Na1モルの重さは23gとなります(参照:換算方法の手順①分子量を知る)。
モル(mol)濃度は、溶液1L中に溶けている溶質のモル(mol)数のことなので『mol/L』と表します。
ちなみに輸液などではmmol/Lを用いるので、mol/Lを1/1000してあげればOKです。
例)1Lの溶液にNaCl(塩化ナトリウム/塩)が58.5g含まれている場合のmol濃度は?
23.0 (Naの原子量) + 35.5 (Clの原子量) = 58.5 (NaClの分子量)
mol/L = 58.5(溶液1Lに含まれる溶質のg数) / 58.5 (溶質の分子量) = 1mol/L
換算方法の手順③mEqを求める
ここまできたらラストスパート!ついにmEqを求めていきます。
mol/Lに荷電数を掛け合わせるのですが…そもそも荷電数とは何だったでしょう?
簡単に説明すると、物質や原子が帯びている電荷の数のことを言います。
元素記号 | 物質名 | 電荷数 | 原子量 |
Na | ナトリウム | 1 | 23.0 |
K | カリウム | 1 | 39.1 |
Ca | カルシウム | 2 | 40.1 |
Mg | マグネシウム | 2 | 24.3 |
Cl | 塩素 | 1 | 35.5 |
P | リン | 1 | 31.0 |
Naだと電荷数は1なので、Na+、カルシウムは2なのでCa2+といった感じです。
なんとなく思い出してきたでしょうか?
例)1mmol/LのMgCl2(塩化マグネシウム)は、Mg2+とCl–のmEq/Lは?
CaCl2 (1mmol/L) = Mg2+(1mmol/L)+ 2Cl– (2mmol/L)
Mg2+:1(mmol/L) × 2 (電荷数) = 2mEq/L
Cl–:2 (mmol/L) × 1 (電荷数) = 2mEq/L
換算方法㊙︎
本来は①〜③の手順を踏んで求めていきますが、実はもっと簡単に計算する方法もあります。
結論から言うと、1Lの溶液中の電解質の含有量(mg)×電荷数÷分子量で計算できます!
mEqの換算例
ここまで来れば換算も簡単、簡単!
- Na 1g(1000mg) = 1000×1÷23 = 43.5 mEq/L
- NaCl 1g(=1000mg) = 1000×1÷58.5(=23+35.5) = 17 mEq/L
- K 1g(=1000mg) = 1000×1÷39 = 25.6 mEq/L
- KCl 1g(=1000mg) = 1000×1÷74.5(=39+35.5) = 13 mEq/L
ここに載っていない電解質のmEqが知りたい場合は、分子量さえ調べるだけで応用可能です!
少しでも参考になれば嬉しいです!!
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