管理栄養士は『NST専門療法士』の資格を取得しよう!

用語辞典

NSTとは栄養サポートチームのこと

NSTとはNutrition Support Team(ニュートリション サポート チーム)の略で、日本語訳は「栄養サポートチーム」となります。
名前の通り、多職種の医療スタッフがタッグを組んで栄養状態の低い患者さんに対する栄養サポートを行うチームです。

ひーたろ
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適切な栄養管理を実施することで、疾病の合併症予防や治癒が期待されます。

NSTの歴史

世界初のNST(栄養サポートチーム)は、1973年にアメリアで誕生しました。
1960年代に中心静脈栄養(TNP)の開発・発展・普及に伴って、医師をサポートする栄養管理専門のコメディカルスタッフが必要となったことが起源とされています。

日本ではそこから約30年が経過した2001年に日本経腸静脈栄養学会(現在の日本臨床栄養代謝学会)でNSTプロジェクトが立ち上げられ、活動が本格的にスタートしました。

NST専門療法士とは

NST専門療法士とは栄養サポートチーム専門療法士のことです。
日本臨床栄養代謝学会が認定し、NST(栄養サポートチーム)のメンバーとなる優秀な人材を育てるために開始された資格制度です。
資格の取得者はそれぞれの専門性を活かして、チーム内のメンバーと連携を取りながら、患者さんに最良な栄養管理の提案や実施を行います。

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)が取得できる9つの専門職

  • 管理栄養士
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 臨床検査技師
  • 言語聴覚士(ST)
  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 歯科衛生士
  • 診療放射線技師

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)の資格を取得するメリットとは?

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)の資格を取得するメリットは、NST(栄養サポートチーム)ラウンド(回診)での意見や提案に対する信用度・信憑性が増すということです。

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)はそもそも「優秀な人材を育てるため」に始まった資格制度のため、取得には学術集会やセミナー、実地修練への参加が必須とされています。
それらをクリアしないとそもそも筆記試験を受けることすらできず、もちろん試験に合格しなければ取得できません。
そのため資格を取得しているということは、豊富な知識を得ているという証明になることは間違いありません。

ひーたろ
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チームの一員として今まで以上の活躍が期待されることから、
キャリアアップ給料アップを望めることも大きなメリットではないでしょうか。

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)取得の条件は5つある

先述しましたが、NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)になるにはいくつかの条件を満たす必要があります。

ひーたろ
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以下の取得条件を全て満たすことが必要です。

  1. 認定対象国家資格を所持していること
    管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師
  2. 上記国家資格により3年以上、医療・福祉施設に勤務し栄養サポートに関する業務経験がある
    ※以前は5年以上でしたが、3年以上に短縮されました。
  3. 日本臨床栄養代謝学会主催の学術集会に1回(10単位)以上、NST専門療法士受験必須セミナーに1回以上の参加を必須とし30単位以上を取得している
    または必須単位数に加え学会が認める栄養に関する全国学会、地方会、研究会への参加単位数の合計が30単位以上ある
  4. 認定教育施設において、計40時間の実地修練をおこない修了している
  5. 上記1~4までの条件を満たしたうえで、認定試験に合格する

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)取得までの簡単な流れ

ひーたろ
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資格取得までの流れはこんな感じです!

  1. 国家資格で3年以上、医療・福祉施設に勤務し栄養サポート業務に携わる
    認定対象国家資格(管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師)を所持し、3年以上医療施設や福祉施設で勤務していることが必要です。
    また、その間に栄養サポート業務に携わっていなければなりません。
  2. 日本臨床栄養代謝学会主催のセミナーや学会に参加し、30単位以上を取得する
    学術集会・セミナー・学会での30単位を取得する方法は2つ
    ・必須単位数となる学術集会・セミナーへの参加のみで30単位以上を取得
    ・必須単位数に加えて、単位数として認められる学会・研究会に参加し合計で30単位以上を取得

    <必須単位数となる学会・セミナー>
    ・日本臨床栄養代謝学会の学術集会(1回参加で10単位)
    ・本学会主催のNST専門療法士受験必須セミナー(1回参加で10単位)
     ※上記の学会・セミナーは、それぞれ1回以上参加することが必須条件

    <単位数として認められる学会・研究会など>
    ・学会が認める栄養に関する全国学会、地方会、研究会(2単位または5単位)
    ・「バーチャル臨床栄養カレッジ」修了証(10単位)
  3. 認定教育施設において、計40時間の実地修練を行う
    実地修練の受け入れを実施している病院を探し、研修に参加します。
    研修を受け入れている期間は病院によって異なり、年に1回程度の病院や定期的に実施している病院など様々です。
    また、受け入れている人数も病院によって1名~10名ほどと幅があり、それほど多くありません。希望している病院で研修に参加するには、受け入れのタイミングや選考に通ることが必要です。

    【実施場所】
    日本臨床栄養代謝学会より「NST稼働施設」および「学会認定教育施設」の認定を受けている病院

    【日程・期間・実習時間・費用】
    日程:各病院により異なる
    期間:5日間~10日間程度
    実習時間:合計40時間
    費用:10,000~35,000円

    【申し込み方法】
    各病院へ直接の申し込み
  4. 症例報告書を作成する
    受験申込の際には、自分が認定教育施設で携わった静脈経腸栄養管理中の患者に関する症例報告書を添付しなければなりません。

    【症例報告書の規定】
    添付数:1通
    文字数:1,600字以内
  5. 必要書類を専門療法士認定制度委員会へ提出する
    ・受験申請書
    ・最終学歴から申請時までの履歴書
    ・国家資格の免許証(写)
    ・指定の学術集会、学会、セミナーなどの参加証、修了証
    ・指導医が自署捺印した認定教育施設実地修練修了証
    ・症例報告書(1通)
  6. 認定試験を受験する
    ・認定試験:毎年1回のみの開催
    ・日時:例年11月上旬 13:00~15:00
    ・場所:国立京都国際会館
    ・申請期間:6月上旬~7月末
    ・受験料:10,000円
  7. 認定試験に合格
    合格発表は同年の12月中旬頃インターネットにて受験番号が発表される。
    合格者には、翌年1月下旬頃に認定の手続きに関しての通知が郵送にて届く。
  8. 認定申請書の送付と認定料の納入する
    郵送された認定申請書によって認定・資格制度委員会が認定料の納入を確認したあと、認定証が交付される。

    【認定料】
    20,000円
  9. NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)と認定される

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)取得後は更新が必要

ひーたろ
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取得して終わりではなく定期的な更新が必要なのです…。

資格を更新するには、下記の条件を満たしたうえで必要書類の提出が必須となります。

【更新日】
認定証の交付日から5年毎
※認定証有効期間終了の1年前より資格更新業務をおこなうこと。

【更新手数料】
10,000円

【更新条件】

  1. 認定されてから更新時期まで引き続いて本学会会員であり、かつ会費を完納している
  2. 認定期間中に以下に示す必須20単位を含む合計30単位以上を取得していること。
  3. 認定期間中に2年以上、医療または福祉施設において臨床栄養管理業務に従事していること。
  4. 休会期間は認定期間に含めない。
    休会中に取得した単位や資格更新申請は認めない。
  5. 休会により認定期間を延長するものは、認定証有効期間終了の1年前に認定期間延長申請をおこなう。
  6. 認定期間延長申請は最長3年までとし、1年毎に延長申請の手続きをおこなう。

※栄養サポートチーム専門療法士の資格取得に関する詳細については、日本臨床栄養代謝学会の「栄養サポートチーム専門療法士認定規程」にてご確認ください。

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)は管理栄養士が取得すべきを最優先の資格!

NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)を取得することは簡単ではありません。
また取得後もセミナーや研究会などに出席し勉強を続けることが必要となりますが、栄養管理を専門に行う管理栄養士だからこそ、最優先に取得しておくべき資格だと言えるでしょう。

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